目のこと
宮ぷーが倒れてから、本当に私たちの体はなんてうまくできているんだろうとしょっちゅう思いました。たとえばまぶたのことひとつとってもそう思いました。
毎日、まばたきとかを知らず知らずのうちにしているけど、そのことで、涙が目全体を覆うようにできていて、そのために、眼球が傷つかないようになっているのですね。
宮ぷーは脳幹出血で倒れてから、まばたきをほとんどできない時期があったり、逆にいつも、瞬きというか、まぶたが絶えずパチパチと動き続ける時期もありました。そして、右目も左目も、最初は開いたままだったり、きちんと閉じれない時期が続きました。乾燥のために、目に傷がついて、そして角膜までも傷つけてしまいました。
一番最初に使ったのは薬局などで売られているアイパッチという商品でした。目を覆う絆創膏のようなもので、斜視や弱視の方が片側の目を隠して、隠してない側の目を使う訓練のためにも使用されるものです。
けれども、宮ぷーの場合はしっかりと乾燥を防ぐことができずに、調子が悪くなって、角膜まで傷がいくようになったので、その次に、ラップで目を覆うようになりました。けれども、ラップでは目が完全に張り付いてしまって、まぶたの筋肉が落ちてしまって、今度はまぶたが動かなくなってしまうのです。
宮ぷーがそれからずっと使い続けているものがあります。
お友達の歯医者さんに頼んでつくっていただいた目のキャップです。
シリコンの板をカレーライスのスプーンを型にして作っていただきました。ほっぺにあたる部分が痛くないように、端っこのところをなじむように平らにしてもらいました。
これを目にあてて、それから、その上から医療用のテープを貼っています。
大きなテープで水色の字の書いてあるところを歯がして、アイキャップをつけて、顔に貼るのだけど、そのあと、そのテープは上からもう一回はがせるようになってるのです。インターネットでその商品を探したけど、まだ見つけることができていません。日東のテープなのだけど、ホームページを見てもわからなくて、わかった方がおられたら教えて下さい。
(その後、宮ぷーが使っているものはNITTOのパーミロールという商品名のものだとわかりました。それから、情報をいただいたのですが、ニチバン 防水フィルムロールタイプ BFR10も同様に使えるようです。)
アイキャップは、目の炎症がひどくないときは夜だけ貼っています。
ずっと貼り続けると、貼ってある方で見ようとしなくなるといけないから。
それで、アイキャップをはずして、おいておくのですが、このキャップは、お友達に作っていただいたものだから、売ってないので、すごく自分たちにとっては貴重なものなのです。それで、ゴミと一緒に不注意で捨てるといけないし、なくすといけないので、入れておくところを決めて、看護師さんや私たちの誰もがわかるようにしました。他にも、スピーチカニューレなど、小さくてなくなるといけないものも入れてあります。
車いすに乗るときの板
ベッドから車いすに乗り移ってもらうことを移乗(いじょう)というそうです。そのときに板の上を滑らせて、車いすに乗ってもらう方法があります。
これは売られている移乗用ボードです。
私は何でも作れるものなら作ってみようと思って、作りました。上がよくすべらなくてはならないこと。それから、割れると大変だからある程度厚みがないといけないことなどに気をつけて作りました。けれども、私は、ボードは使わずに車いすにうつってもらっています。力がなくても、できる方法があるので、その方法を使っています。
手や足を硬くしないために
宮ぷーといて実感していることのひとつに「身体は動かせば動いていくし、動かさなければ動かなくなっていく」ということがあります。
動かさないと、動かす機能が衰えるということもあるかもしれないけど、すごく大変なのは、手や足が拘縮していくということです。硬く曲がってしまうと、もし動かす機能が体の中でもどってきたとしても、拘縮していては、決して動かすことができないということを思いました。
それをふせぐためには、やっぱり身体をどんどん動かすことしかないと思うのだけど、でも、いろいろな道具も使いました。とにかく、宮ぷーの体を絶対に拘縮させないぞという目標のようなものが、今も私の中にあります。やっぱり拘縮すると、それだけ体の自由が奪われることになるから…。
手の拘縮を防ぐために
手や足をマッサージしたり、ほぐしたりしたときに、ここまでは柔らかくするという目安を決めました。たとえば、今は、腕がかなり柔らかくなってきたので、手のひらが、自分のほおを触ることができるということを目安にしています。もし、硬くなっていて触れないときは、ほんの少しでも、硬くなっている証拠なので、触れるまでほぐし続けます。
倒れてから6ヶ月くらい経ったころは、自分でもおそるおそる手や足をほぐしていたので、宮ぷーの体はずいぶん硬くなってしまっていました。手のひらも、毎日動かしていても、気がつくと、指を伸ばすたびに、カクカクというような音を立てるような感覚がありました。それで、少しずつ伸ばした手のひらを、手作りの板?にあてて、それがちゃんとあたるということを目安にしていました。
少し厚めの合板を手のひらサイズに切り、ドリルで穴をあけて、丸棒を差し込んで作りました。
でも、木工なんて難しいという方もおられると思います。でも大丈夫。100円均一のお店で、いいものを見つけました。次の足の指の拘縮を防ぐためにを見て下さい。それは手にも使えます。宮ぷーは指が少しずつ動くようになってきて、それとともに、指がカクカクなるのは少なくなってきました。そして、今はこの道具を使わなくてもいいほどに手が開いているので、使っていません。 (手作りでないけど、ここに載せます)
足の指の拘縮を防ぐため
一日のほとんどを寝たままだと、足の指も内側に重力で下がってきてしまいます。そして、内側へ拘縮してしまうのです。それを防止するために一日に少しの間でも、つけておいたらいいなあと思って使っています。
100円ショップで買いました。手のためにも使えると思います。(手作りでないけど、ここに載せます)
足の尖足予防グッズ
私は宮ぷーが絶対にいつか歩くんだと思って、それは少しも疑っていないのです。症例というか、多くの方がたどる道筋や、確率がどうであっても、私は、「だいじょうぶ。がんばっていけば絶対に歩けるよ」と本当に全然疑っていないのです。だって、脳はすごい力があるよ。だから、絶対にだいじょうぶ。 そして、そのためには、足が尖足(せんそく)になってはいけないのです。尖足とは、かかとがまるでシンデレラのハイヒールを履いたみたいに、のびて固まってしまうことで、そうなると、いざ歩こうというときになって、足が地面に90度につかなくなってしまうのです。毎日、足首をまげているのだけど、一日に10回くらいした程度では硬くなっていく気がします。それが心配でいろいろなものを作りました。
・1番目に作ったもの。段ボールで作りました。褥瘡(じょくそう)ができたら大変なので、つぶつぶを巻くなど気を遣いました。
・2番目に作ったもの 牛乳パックとガムテープで作りました。
ガムテープは布ガムでないとうまくいきません。
でも体交のたびにずれてしまうのが気がかりでした。
そんなときに、お友達になったのが、広島の栗山さんでした。スチロールの会社の社長さん。私が「つくってつくって。こんなものつくって」とねだったところ、なんだって言ってくださいねと、すばらしい補装具を作って下さいました。私はクリヤマ補足具と勝手に名前を付けました。今はずっとクリヤマ補足具のお世話になっています。私が病院から帰る時間につけて、夜中にはずしていただいています。やっぱり、褥瘡が気がかりなのです。